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執筆者: 渡辺 京子

経営幹部に気づいてほしい「しぐさの影響力」

「しぐさ」の文化論

私が、経営幹部や管理者の研修をしていて「もったいない!」と思うことのひとつに、 「自分のしぐさにあまりに無頓着」ということがあります。 表情や視線の向け方、姿勢、手や体の動かし方など、無意識に<!–more–>自分の慣れたやり方になっているのです。

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もちろん、それが会社にとっても周囲の方たちにとっても、 そして本人にとっても幸せな結果を生むのであれば、問題ありません。 しかし、気づかないうちに、しぐさは影響力を発揮しているのです。

良くも悪くも。

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この数年の間に、研修会場で見かけることが多くなったのが、 休み時間にパソコンや携帯電話から目や手を離さない人たちです。 以前は休憩時間に雑談をして、情報交換・収集やストレス発散するというのが よくある光景でした。ところが今は、研修会場にも仕事のメールが入り込んできます。 彼らは一生懸命仕事をし、成果をあげようとがんばっているのですが、ここに落とし穴がありそうです。

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「○○さん、がんばっているね~」と思う人もいるでしょう。 ところが、無意識の影響力とは恐ろしいものです。 何かに熱心になり、視線を一点に集中させ、忙しそうに手を動かしている人に対して、話しかけるのを躊躇することはありませんか?
「じゃましたくない」「話しかけないようにしよう」「静かにしていよう」

特に配慮性の高い日本人は、そう考えるのではないでしょうか。 その結果、せっかくここに集まったメンバーの多様な考え方や情報を知る機会を自ら失ってしまうのです。

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その上、この影響は本人だけのものではありません。同じグループのメンバーも、自然と休憩時間を静かに過ごすことになり、 そのために情報交流が阻まれてしまう結果につながります。誰も気づかないうちに。

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さて、これを職場に置きかえて考えてみましょう。休み時間にパソコン・携帯を見ている上司、笑顔なく視線を落とす上司・・・。部下はそれを見て、仕事のためには話しかけるかもしれませんが、 報連相の度合いが下がってしまうのではないでしょうか。 上司はぼやいているかもしれませんね。「部下が全然、報連相してこない」と。でも、人の関係は「押し引き」の関係ですから、相手だけの問題ではありません。

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組織風土はその組織のリーダーの考え方とともに、「しぐさ」がつくります。心をカタチにしたもの、それが「しぐさ」です。 考え方が自身の行動を決定し、しぐさをつくり、そのしぐさが見えない影響力を組織に及ぼします。

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リーダーは人を幸せにする人。 特に、役職が高ければ高いほど、影響力の及ぶ範囲は広くなります。ほんの少しだけでもかまわないので、 自分のしぐさの見えない影響力に気づいてほしいと思います。

リーダーとして、人と組織を幸せにするために。

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