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執筆者: 細野 央郎

第三次小説ブーム

新しい挑戦してみました

しばらく前ですが、ある研修をオブザーブしていたところ、「感性を豊かにするには」というテーマで、講師と受講者のやり取りが始まりました。受講者の意見は省きますが、その講師は一つの方法として「小説を読む」ことを薦めていました。ありきたりの意見かもしれませんが、私は改めてなるほどと感じました。

 

我々講師という人種は、人には立派なことを言いますが、それに見合う分だけ自分達で実践しているかは大いに疑問です。そこで、という訳でもないのですが、2014年は小説を読む年にしようと決めました。
私は、もともとかなりの読書家です。家には書棚、押し入れの中だけでは足りず、床にまで本が積み上がっています。しかし、ここ10年ぐらい読むのはビジネス書ばかり。仕事上必要とはいえ、こんな偏った読書ばかりでいいのだろうか?何か豊かじゃないなと不安になっているところでもあったのです。

 

振り返ってみると、今回は私の人生で三度目の小説ブームとなりました。
第1次ブームは、20数年前、大学受験の浪人時代です。私は、高校時代まで学校の勉強法と相性が悪かったのです。例えば、国語でいえば、教科書の細切れにされた文章を読まされて何がしたいのか、目的がさっぱりわかりませんでした(まぁ、怠惰なだけだったのが真相ですが!)。浪人ですので予備校に通い、講師のテクニックとしては興味を引かれる授業を受けましたが、細切れなことには変わりません。当然、あまり効果もあがりませんでした。

そこで、なぜそういう結論に達したか覚えていないのですが、丸々一冊「小説を読もう」と決意したのです。その後の私の人生にとって、我ながらこれはナイスな判断でした。この時は半年ばかりで十数冊読んだと記憶しています。それも漱石、太宰、三島など大御所ばかり。教科書や予備校のテキストとは情報量が違いますので、勉強という面でもそれなりの効果がありました。何より、「読書が苦にならなくなった」ということが最大の財産となりました。

 

第2次ブームは10年ほど前です。その頃の私はビジネス書の分野ではありますが、物書きの仕事をすいぶんとしておりました。そこで、ある編集者に「良い文を書くためには、良書を読むこと」とアドバイスをもらい、また小説を読むことにしたのです。この時期にハマったのが山崎豊子、松本清張です。この時もそれ相応の冊数を読み進めました。

 

そして、2014年、第3次ブームです。今回は、これまでとは様相が違い特定の作家に限定することなく、仕事の気分転換的に、かなり気楽に、色々な小説を読みあさりました。その数は1年間で30冊ほど。仕事で移動するために乗る新幹線を書斎がわりに、駅で仕入れた本を読むのが典型的なスタイルでした。

 

それで実際に感性がどこまで豊かになったのか?
それは正直あまりピンときませんが、やはり小説は楽しいですね。いろいろな人生を疑似体験できます。ただ、人との相性と同じように、文章との相性もあるようです。以下、私が楽しめた本、上位3冊をご紹介します。

 

堂場瞬一『逸脱』 佐々木譲『人質』 内田康夫『黄泉から来た女』

 

さて、2015年は仕事に戻ろうか?手元には、仕入れたての2冊の本がある。。。

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